相続税法の豆知識
葬式費用
葬式費用は相続財産に含まれないので、原則論からすれば相続税の計算に影響を及ぼさないのですが、相続税法では、相続財産から葬式費用を差し引いて相続税額を算出することになっています。
葬式費用の範囲は常識で判断できない場合が多く、よく質問を受けます。
例えば、病院で亡くなった場合、自宅に運ばなくてはなりません。この搬送費は葬式費用に含まれることになっています。山で遭難して死亡した場合の遺体捜索費用も葬式費用に含まれます。このような場合、地元で火葬すれば、遺骨を搬送しなければなりませんが、火葬費も搬送費も葬式費用に含まれます。また、自宅で急死すると解剖されることがあります。この解剖費用は葬式費用には含まれません。
細かな話ですが、死亡診断書の作成料や死亡届の提出手数料は葬式費用に含まれます。
遺体が自宅に戻ってきたらお通夜など葬式前でも出費がかさみます。これらの費用も葬式費用として認められます。また、葬儀で、お手伝いの人に払った費用、タクシー運転手への心づけ、お坊さんに払ったお車代は葬式費用です。支払相手の名前、住所、支払額を書き留めておきましょう。また、生花の費用は相続人や包括受遺者が支払えば葬式費用です。
これに対して香典の収入は、相続税額の計算に影響を及ぼしません。そのため香典返しは葬式費用に含まれません。葬儀社の領収書には香典返しの費用が含まれていますので、費用の明細書を保存しておきましょう。
火葬の費用は葬式費用に含まれますし、お斎の費用も葬式費用です。
葬儀が終わった後は、初七日です。初七日など法事費用は葬式費用に含まれないことになっています。
また、葬儀が終わるとお坊さんが読経料を貰いに来られます。読経料は葬式費用に含まれますが、領収書が貰えないこともありますので、お寺名、住所、支払額を記録しておきましょう。
人が亡くなると墓地や仏具が必要となりますが、墓地や仏具の購入費用は葬式費用に含まれません。位牌の購入費用も葬式費用になりません。
基礎控除を計算する時の法定相続人
相続税の総額は、課税価格の合計額から基礎控除額(5,000万円x1,000万円x法定相続人の数)を差し引いた課税遺産総額を元に計算することになっています。
この計算をする際の「法定相続人の数」は、次のように数えます。
1.民法の定めによる相続人の数が基本となります。
例えば、相続人が妻と子供2人ならば、法定相続人の数は3人です。
民法の定めについては「相続法の豆知識」の「相続分」を参考にしてください。相続分がある人の数が法定相続人の数です。
2.相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとして計算します。
例えば、相続人が妻と兄弟3人で、3人の兄弟が全て相続放棄しても、法定相続人の数は4人です。
3.特別養子縁組により養子となっている人は、法定相続人の数から除かれません。
4.配偶者の実の子で被相続人の養子となっている人は、法定相続人の数から除かれません。
5.結婚前に、配偶者と特別養子縁組により配偶者の養子となった人で、結婚後養子となった人は、法定相続人の数から除かれません。
6.代襲相続により相続人(子や養子が死亡したため相続人となった孫など)となった人は法定相続人から除かれません。
7.亡くなった人に子供がいる場合、2人目以降の養子は法定相続人の数から除かれます。
例えば、相続人が妻と実子1人、養子2人ならば、法定相続人の数は1人減って3人です。
8.亡くなった人に子供がいない場合、3人目以降の養子は法定相続人の数から除かれます。
例えば、相続人が妻と養子4人ならば、法定相続人の数は2人減って3人です。
相続税申告実績(一部)
新着情報
- 2021.11.24遺言アドバイスを追加しました
- 2021.10.26遺産分割アドバイスを追加しました
- 2021.10.26税務調査対策を追加しました
- 2021.10.25アパート経営サポートを追加しました
- 2021.10.20判例から見る相続登記を追加しました